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拉弦楽器

 弓で演奏する弦楽器を拉弦楽器という。現在の拉弦楽器の大半は、胡琴の流れを汲んでいる。

◆古琴
二胡
◆京胡
◆高胡
◆馬骨胡



◆胡琴

 胡琴*1の前身は唐代に出現した奚族の奚琴に求めることができる。奚琴は二本の弦を有し、竹片を用いて二本の弦の間をこすって弦から音を出させる。

*1 古代には北方の少数民族を総称して胡と呼んだ。このため、胡族の楽器・音楽はすべて胡の字を冠する。
*2 奚は中国古代東北地区の一民族である。南北朝時代には庫莫奚コムシと称し、隋・唐の時代には奚と称し、五代・十国の時代には契丹に融合した。

 宋代には稽琴*3とも称し、すでに非常に高い演奏技巧を有していた*4。同時に、馬尾弓で弾いて演奏する馬尾胡琴も出現していた*5
*3 宋の陳元『事林広記』巻八によれば「稽琴はもともと稽康が作ったために稽琴と呼ぶ。二弦、竹片で軋ませる。音は清亮である」とある。
*4 宋の沈括(1031~1095)の『夢渓筆談・補筆談巻一・楽律』には「煕寧年間に宮廷で宴があった。教坊の伶人の徐桁が稽琴を演奏した。酒が進んで弦が一本切れたが、桁は琴を換えず、一弦でその曲を終わらせた」とある。
*5 沈括の『夢渓筆談』巻五に「馬尾胡琴は中国風に従っていても、音の調子は北方民族風である」とある。

 宋代にはモンゴル族が祭祀*6と軍隊*7において胡琴を使用していた。「元史・礼楽志」によると、元代には胡琴の形について「胡琴は火不思クーブーズのように作り、巻頚龍首、二弦で、弓を用いてよじり、弓の弦は馬の尾で作る」と規定している。
*6 余文の『内蒙古歴史概要』に「12~13世紀、楽器と舞踏の芸術がすでに出現していた。……銅鑼、拍板、祭祀の時の演奏の忽兀児(胡琴)があった」とある。
*7 張星の訳書『馬哥孛夢遊記』の中で1268年のモンゴル軍隊中の情勢について「韃靼人はまた一つの風習を有していた。隊列が並んで武器をもって戦うのを待つとき、彼らは歌を歌って、二弦琴を演奏し、それを聴くのが極めて好きなのである」

 現在の二胡・高胡・中胡・大筒・四胡・京胡・板胡・馬頭琴などの拉弦楽器は、胡琴の別名か、胡琴の土台の上に発展してできたものである。

(以上、人民音出版社『中国器介』より)



 胡琴は唐代の奚琴に源を発する。北宋の時代に、馬の尾の弓で弦を弾く胡琴が出現したが、これは当時の主な拉弦楽器で、沈括の『夢渓筆談』の記載によれば、馬尾胡琴の形状は長柄で、無品、音箱は梨型で、弦は二本である。琴の頭上には龍首がついていて、馬尾弓で演奏し、音色は押さえて広がる。北宋の元豊五年(1082年)、北部辺境に駐留していた宋代軍隊の中では、馬の尾で作った弓で弦をひく胡琴の使用が広まっていた。

 南宋になって、胡琴は比較的広まっていた。中国は大量に生糸の弦を作っており、南宋が臨安(今の杭州)に遷都したとき、絲弦はまた「杭弦」とも呼ばれるようになった。

 元代、少数民族の文化と中原の文化が広く交流し、溶け合った。このとき、胡琴はもともとの土台に加えて、蒙古族の弾弦楽器の特徴を吸収して作られた。その形と構造は、今日流行っている龍頭二胡にすでにかなり近づいている。甘粛省楡林の石窟の元代の壁画の中に、一人の楽人が楽器を演奏しているものがある。首の部分は巻いており、二弦で、弓で演奏している。元代の胡琴は宴楽の中で独奏または合奏に用いられ、軍隊の演奏活動でも広く使われた。元代から、胡琴の名は次第に弦楽器の通称となって広まった。

 明代には胡琴は劇曲・曲芸・民間器楽が繁栄するのに伴ってさらに発展した。『麟堂秋宴』の図の中で、一人の子供が巻首・龍頭・二弦の胡琴を、馬尾弓を使って演奏している。

 明末・清初には、胡琴はチベット区巴塘(今の四川西部)に至り、民間の芸人から歓迎され、現地の材料を使った牛角胡琴となった。当時作られたチベット族の民間歌舞弦子は、胡琴の伴奏で有名になったのである。

 清代には、もともとの胡琴や二胡以外に、四弦の四胡、京劇の伴奏をする京胡、拍子木劇で伴奏する板胡が出現した。様々な地方での劇曲の伴奏や民間器楽の需要に合わせた演奏をするため、形や構造が異なる胡琴類の拉弦楽器が次々と発表された。広東の粤胡、湖南の大筒、河南の竪胡、蒙古族の馬頭琴、壮族の馬骨胡などである。

 胡琴類の楽器は表現力が豊かで、様々な弓法を使うことができ、運指法で深く入念に音楽の内容を表現できる。民間で広く伝わったため、民間芸人の想像した特殊な表現技巧は、各種の人間の声調・節回し・せりふ・笑い声、自然界の鳥やけものの鳴き声等々をまね、一種独特の表現力を有し、趣に富んでいる。


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