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詹麗君:13人の「時にはこんな日々」by りょう

話したいことがあった。

二胡をひざに置いたまま、詹麗君はそう思っていた。ここは楽屋、十二楽坊の出番待ち時間である。

リーチュンが考えながら目線を送る先は、親友の雷滢。

「あれじゃー無理よね・・・」

話しかけたいのだが、レイにはスキがなかった。というのも今、孫婷が彼女になついているのである。

「レイちゃん、今日はなに聞かれるだろうね?」

ニコニコと話しかけてるティン。それにちゃんと笑顔で答えてるレイ。最近この光景をやたら目にする。

休憩時間、待ち時間、移動時間もティンはいつもレイの横にきて話しかけてるのである。

「近頃、ティンちゃんはレイちゃんにべったりね。なんかあったのかな?」

こんな言葉が楽坊の中で飛び交っていた。別に仲のいいことは問題ないのだが、リーチュンは複雑だった。

いつもだったらレイと一緒にいるのはリーチュンだ。バスの中も楽屋にいる時も、ほとんど二人でいた。それなのに今は横にいない。1人ぼっちではないがちょっと・・・気になる・・・

「あなた達なんかあったの?」

孫媛が聞いてきた。なんかと言われても何もない。

「別に。ティンちゃんがレイちゃんと話してるだけじゃない」

「でもなんか雰囲気が違う気がするんだけど・・・」

「・・・そう?」

リーチュンのそっけない返事は少し意外に感じた。ほんと淋しいの!とか言ってくるかと思ってたから。

「大丈夫なの?リーチュン」

「私はただ・・・・約束を忘れてないか・・それが心配なだけ」

レイとティンが楽しそうに話してるとこに、廖彬曲が入ってきた。

「楽しそうねー、ティンちゃんはレイちゃん好きなのね、急にどうしたの?教えてよ」

「フフフ、聞きたい?じゃー教えてあげるー!」

と言ってティンが話しだした。

 数日前、ティンはやっと1日だけ休日をもらった時、自分の二胡の先生の所に行っていた。

「お久しぶりです。ずっと忙しくて中々来れませんでした」

少し会話をして、二胡を教わり帰ろうと思った時、部屋に1人の若い男が入ってきた。

「あぁよく来たね。紹介しよう、私の甥っ子だ。十二楽坊のファンだとうるさいんでね。すまんが・・・」

先生の親戚ならと少し話しをしてあげた所、この男、たまに居るオーバーな感情と思いこみの人だった。

「いやぁ信じられないです!僕はレイさんファンなんですが、ティンさんもなんとお美しい!女優以上!」

そして自分は、楽器マニアでかなりの独弦琴ファンだと言う。作り方とか細かいとこまで説明してくる。

「独弦琴は世界一の楽器です!あれを弾けなんてレイさんは素晴らしい!天才、いや女神です!いやぁ、レイさんのお友達と僕は今一緒にいるなんて、感動です!泣けてきますよ!」

つまりこの男は、ティンをレイと仲のいい人間として見てるのだけだ。はっきりいって失礼だ。怒りたくなる。

なのにティンは気づかずに。自分はそんなに素晴らしい人間と仲いいのかと鼻高々になっていた。

そして次の日から、レイにくっつくようになったのである。

「なるほどねー。単純だね」

「いいのっ!ねーレイちゃん、今度独弦琴の弾き方教えて!」

キャッキャッとはしゃぐ来るティンを、レイはかわいいと思ってる。だからこんなになつかれるのは嬉しい。

でもレイもちょっと気になっていた。リーチュンが自分のとこに来てくれない事・・・

ちらっとリーチュンの方をみたが、彼女は素知らぬ顔で二胡の音調整をしていた。

・・・・・リーチュン、約束・・・・覚えているよね?・・・・

やっと楽坊の出番。音楽番組なので3曲弾いて、あとは座ってトーク。

その時二胡隊の並び順は左から殷焱、孫婷、詹麗君、雷滢だった。

順がわかった時、リーチュンはすごく嬉しかった。久々にレイの隣に居れるから・・・

演奏中とトークの時に数回、リーチュンはレイをみて微笑みを送った。レイもまた、笑顔で返した。

出番が終わり楽屋に戻った時、嬉しそうにリーチュンは、レイに話しかけようと近づいた。

「レイちゃ・・・」

と言いかけたが、止めた。さっとティンが笑顔でレイにくっついてきたのである。仕方なく目を伏せた。

「ごめんリーチュン、ブラシある?」

と直後にイエン聞かれたが、あるよっと笑顔で答えた。その光景をレイは淋しそうに横目で見てた。

 その日の夜、リーチュンは寝る前に考えていた。あさっては約束の日・・・なにあげよう・・・

何気なくパソコンで自分の応援掲示板をみた。彼女のファンには猫とつく名前がたくさんいた。

「そうだ!かわいい猫のキーホルダにしよ!前にほしいって言ってたっけ」

淋しさが一気に飛んでった気がした。渡した時のレイの顔が目に浮かぶ。楽しみだった!!

「レイちゃんは忘れてない、ぜったい!きっと大丈夫・・・」

 次の日、最近出来た小物店でかわいい猫のキーホルダを買った。

そしてその足で機嫌よく練習所に行った。

「おやおや、めずらしく浮かれてるわねー」

「うふふ。レイちゃん来てる?」

「・・・・今日はいないよ」

蒋瑾の言葉にリーチュンは一瞬絶句した。

「えっ・・・なんで・・・?」

「さぁ。なんか王さんしか知らないみたい。もしかしたら明日もいないかもだって」

リーチュンはボーゼンとした。私に・・・連絡ない・・・明日・・・会えない・・・

「でもまだわかんないし!ほら、お腹痛かっただけかもしれないじゃん」

ジンは慌てて元気付けるように言ったが、もはやリーチュンには聞こえなかった。

そして暗い表情のまま、練習は始まった。

リーチュンはどんな時でも、二胡隊主席だった。演奏が始まると真剣な表情で弾く。それとこれとは別という気持ちはさすがプロ。でも今日のリーチュンの二胡の音色は、どこか淋しげだった。

 長時間たち、練習が終わったのは夜だった。みんなが楽器を片付けようとした時、ガタンと音がした。

メンバーが驚いて振り返ると、リーチュンが倒れた二胡をじっと見ていた。そして泣きだしてしまった。

「リーチュン、どうしたの?」

リーチュン、リーチュンとみんなが口々に言うと、リーチュンはとうとう耐えられなくなり、しゃがみこんだ。

「レイちゃん、どうして私になにも言ってくれないの?明日のこと忘れちゃったの?淋しいよ!レイちゃん」

涙は止まらなかった。この数日間の淋しさが一気にこみ上げた。何も考えられなかった。

そのリーチュンを見てみんな驚いたが、一番びっくりしたのはティンだった。

「ごめん、リーチュン。ごめんね・・・私がレイちゃんとばっかりいたからだよね。リーチュンがこんなに悩んでたとは知らなかったよ、ほんとにごめんね・・私悪い子だね・・・」

そしてリーチュンを抱きしめた。それによりリーチュンも少し泣きやみ、ハッとした。

「ううん、ティンちゃんが悪いんじゃないの。私が気持ちを溜めていたのが悪いの。レイちゃんは私だけの友達じゃないのにね。ごめんね泣いたりして、子供みたいだね私・・・淋しいだなんて・・ほんと・・」

二人は頭をなで合った。周りはこの二人がとても幼くみえたが、少女の頃の自分みたいとも思った。

次の日、みんなが元気づけに夕飯に誘ってくれた。

まだ誰も来ていない。リーチュンは昨日の事を思い出しうつむいてると、後ろから呼ぶ声がした

「リーチュン!リーチュン!」

「えっ、レイちゃん?レイちゃんだ!レイちゃん!!」

「リーチュン、話すの久しぶりね!あのごめんね、昨日の朝、楽団の先輩が倒れたって連絡きたの。その人とは仲いいからびっくりしちゃって・・慌てて王さんに電話して病院行ったのよ。」

「そっかー・・・レイちゃん・・やっぱりレイちゃんだ・・」

「先輩すぐ元気になったわ。それより・・ごめんねリーチュン、淋しい思いをさせてて。昨日イエンとジンから電話きたの。泣いたんだって?ごめん私が悪いね。でも約束の日は覚えてたんだよ!」

リーチュンはニコニコだった。もう胸いっぱいだった!これまでの事はもう消えていく・・・

「いいの、もう。こうしてレイちゃんが話してくれるんだけで!嬉しいよ!あ、はいこれプレゼント!」

「わぁ、かわいい!ありがとう。はい、私からもプレゼント、ずっと前から買ってあったのよ」

そして二人はお互いの片手をパチンを叩いて、親友の印ね!と笑顔で言い合う。

これが年に1回の二人の行事であり、約束だった。日本デビュー前のある夜に決めた秘密の誓い。

二人が笑いながらおしゃべりしてる光景を、メンバーは少し離れて見ていた。

「やれやれ。まだ大人になりきれてないわね」

「でも私達って小さい頃から、練習と勉強の毎日だったじゃない?友達でも大会前はみんなライバルだったり。でもそれがない今になって、改めて友達のいる嬉しさがわかったような・・そんな気がしない?」

「わかるわ。学生の頃は友情より楽器練習だったもん。だから今の方が青春だわ!キャー」

クンの言葉にみんなで笑いあった。それから二人の所にかけて行った。

親でも、恋人でもないけど、自分にはかけがえのない人。ずっと親友だよ!レイちゃん。


  • 2004/12/10~12/12
  • written by りょう


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