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孫婷:13人の「時にはこんな日々」by りょう

もうすぐクリスマス!

1年の中でとっても楽しみでドキドキしてすべてがキレイに見える特別な日!

なのに孫婷の心はブルーだった。・・・・今年は恋人がいない。

いる年はとても楽しみにしてるのに、今年は楽坊の全米デビューなどがあって忙しく出会えなかった。

「あーあ、24日は仕事が入ってくれないかなぁー」

とお昼にボソッと言った。すると小声なのにみんな聞こえたらしく

「冗談じゃないわ!やめてよねー王さんに聞こえちゃう」

とみんな焦りだした。どうやらほとんどのメンバーが予定あるらしい。

これを見てますます落ち込んだ。ひょっとしたら予定がないのは私だけなのかな・・・

その日の夜、自分の両親が経営してる小料理店でご飯を食べていた。

「ティン、クリスマスの日はお仕事なのかい?」

「うーん・・・練習があるだけかな・・・・」

「そうかい。よかったら夜ここを貸切にしようかと思ってね。いつもティンがお世話になってるから、みなさんを連れておいでよ。あら、でも恋人が待ってるかしらねー」

母親が楽しそうに話してるのを見ると、無理だよと言うのは可哀そうな気がした。

「うんありがとママ、みんなに聞いてみるね!」

 次の日、12月なので雪が少しある北京の町を、憂鬱な気分で歩いていた。練習所に行くのである。

聞いてみるって言ったけど、聞かなくてもわかるんだー来れないってこと。ママがっかりするだろうな・・・

「あーもーどうしよう!」

ティンが独り言を言ってうつむいた時、前から話しかけられた。

「困ってる所をすいません、いま何時ですか?」

見上げると、いま人気の韓国俳優みたいなかっこいい若い男性が微笑んでいた。

「・・・えっ・・・・・あ、はい。えっとー時間はですねーえっと・・」

「フフ、午前8時になるとこですね。ほら」

そう言って男は左の袖をちょっとまくる。しっかり腕時計がしてあった。

「あー、もう!」

「ごめんなさい。あなたが淋しそうにしてたから・・・気になっちゃって。顔上げると、かわいい人ですね」

「なっ・・・やめてくださいよぉー・・・・恥ずかしい」

「あ、笑いましたね!僕、すぐそこのABC楽器店で働いてます。良かったらそこでまた会いましょう」

「えっ、またって・・・・」

「あ、その時はぜったいその笑顔で来て下さいよ。待ってますから!」

そう言って男は走って行った。一般的に言えば少々キザな男である。

・・・・・・・・・・ティンは顔が赤かった。いわゆる一目ぼれだった!

「もうかっこいいの!ほんと!今人気の韓国の俳優さんの、ウォンビンって知らない?そっくりなの!」

ティンが興奮したように仲宝と廖彬曲に話してる。他のメンバーはまだ来てなかった。

「へぇーいいなぁー私も見てみたい。そんなにかっこいいんだー」

「うん、かっこよかった!なんか久しぶりにドキドキしたよー!」

「よかったね、クリスマス前で。告白するんでしょ?」

「やぁだ、ビンちゃんなに言ってるのよ、もう!アハハ」

そう言ってビンチュイを叩くティンは、本当に楽しそうで嬉しそうで笑いっぱなしだった。

「練習終わったら、お店に行こうかな・・・何話したらいいんだろう。キャッ!」

そうしてるとメンバーがガヤガヤやってきた。その中でも殷焱がとびきり元気だった。

「3人ともおっはよ!今日も1日頑張ろうねー!ねっ!」

と満面の笑みで言う。なんかちょっと変。

練習が始まった。数日後には大きな音楽会があるからみんな真剣だった。

お昼の時間。蒋瑾がいないのでちょうど4人ずつ分かれてテーブルについた。

「あー早く終わらないかなー楽しみ!」

「なに言ってるの。練習終わったら雑誌の撮影よ。今日は忙しいんだから。そんなにいい男なの?」

「うん、すごく!いつもは性格で気に入るのに、今回は外見で・・・エヘヘ、ウォンビンに似てるの」

ん?と反応する雷滢。いまの名前・・・たしかイエンも今朝同じこと言ってたような・・・

 同じ時、違うテーブルでイエンはとても笑顔で話してた。

「すごくかっこいいのよ。俳優みたい。仲良くなれたらなって思う。忙しくても恋は別よ」

クリスマス前で嬉しいわ、と二人とも同じ言葉を口にしてた。

 練習が終わり、撮影も終わり、ようやく帰れる頃には外は暗くなっていた。ティンが急いで帰る準備をしてると、イエンが話しかけてきた。

「ティンちゃん悪いんだけど、さっきの楽譜見せてくれない?うっかり落としちゃって一部汚くて見えないの」

「えー、ごめん。ちょっと急いでるんだ、レイちゃんに頼んでくれない?」

「あら、行く所でもあるの?わかったわ、じゃあ気を付けてね」

「うんごめんね、バイバイ」

ティンが手を振って嬉しそうに走って行く。イエンも微笑んでいた。

ちなみに勘のするどい数人のメンバーは、この会話を面白そうに聞いていた。

ティンが息せき切らして走って着いた先は、ABC楽器店。あまり大きくないが前に行った事があるので迷わず着いた。入る前にティンは息を整える。落ち着こうとしても、心臓の鼓動は大きくなるばかりだった。

「よしっ、頑張るぞ。緊張しちゃだめだめ」

深呼吸して入る。店内は楽器が所狭しと飾られていたが、人はいなかった。

「こんばんわ・・・誰もいないのかな・・・。ここの二胡、きれいな色が多いのね・・・」

ちょっと拍子抜けしたので、二胡コーナーを眺めていたらガタンとドアが開く音がした。

「いらっしゃいませ・・・あ、今朝の!待ってましたよ、孫婷さん」

「えっ・・あ、いやあの・・・どうして私の名前を?」

急に出てきたんで慌てふためくティン。予定してたセリフが言えない。そんなティンを見て彼は微笑む。

「知ってますよ、女子十二楽坊。あの時突然だったので帰ってから思い出しました、ティンさんだって」

あーやっぱりかっこいい!どーしよう、心臓がドキドキする・・・ 

「僕は王天一です。よく俳優に似てるって言われます。ハハ、ただの楽器好きな男なのになー」

「似てますよ!私知ってます。あの王さんは楽坊の・・・曲では何が好きですか?」

どのメンバーが好きですか?とはとても聞けなかった。自分じゃなかったらどうしようと思って。

それからいろいろ話した。年齢は少し年上で、民族楽器が好きでよく地方に行くのが趣味という事も。

ティンはなるべく会話が止まらないように細かい事も話した。楽しくて他に何も考えられなかった。

「そうなんですかー。あ、もうこんな時間。すいませんママが心配するので・・・」

と上目づかいで彼を見る。やっぱり微笑んでいた。

「お帰りなんですね。じゃあまた来て下さい!いつでも待ってますから」

これだけ話ても待ってるって言ってくれるなんて・・・期待してもいいのかな?嬉しさが隠せないよ・・・!

そうしてティンが店を出た直後、イエンが店の近くにいた。

「すっかり遅くなっちゃった。・・あれ?ティンちゃん?フッ、そんなわけないわよね」

そうして店に入る。彼はイエンを見ると微笑んで言った。

「あぁ、よく来てくれましたね。女子十二楽坊の殷焱さんでしょ、知ってますよ」

「ありがとう。あなたのお名前は?お友達になりましょうよ!」

イエンもドキドキしながら優しい微笑みで話していた。

 次の日、張琨の顔がひきつっていた。

「なんですって?楽器店の男って・・・」

クンの表情と言葉にメンバーはギョッとした。意味ありげ・・・

「ウォンビンに似た男でしょー、だめよ、ぜったいだめ!二人には諦めてもらわなきゃ!」

その時イエンがやってきた。場を読まずにおもいっきり笑顔だった。

「みんなでなんの話してるのー?なになに?」

「あのさイエン、悪いんだけど・・・・」

「イエンちゃーん!おっはよー!」

ティンが猫みたいな顔でイエンに後ろから抱きついてきた。なによーとじゃれあう二人は幸せそうだった。

「・・・盛り上がってる時にいうのはかわいそうかな・・・・」

クンがボソッと呟きため息をついた。二人は何も知らずにはしゃいでる。メンバーもあえて聞かなかった。

 それから数日、移動日以外二人とも毎日のように彼の店に通った。なぜ鉢合わせにならないかというと、メンバーがそれぞれ裏で協力してなんとか時間をずらしてあげていたのだ。知らぬが仏である。

 クリスマスまであと数日となったある日。ティンは夜遅くに買い物に出てた。

「仕事がこんなに遅くなるとは・・・でも毛糸買えてよかった。マフラー編んでプレゼントしたら驚くかなぁ」

今日は店に寄らないでおこうと思っていたが、顔が見たかったのでチラッと覗くだけにしようと店に行った。

「いるかなー・・・・あ、いたいた!キャ!・・・あの人お客さんかなー・・・・・えっ、イエンちゃん??」

ティンは動揺した。とても仲よさそうに話してる二人は、どうみてもただのお客と定員じゃなかった。

「えっ・・・ひょっとしてイエンちゃんの彼だったの?そんなー・・・」

店に入って聞きたかったが、なんかおじゃま虫になりそうで怖くて行けなかった。暗い顔のまま家に帰った。

 次の日、なんとか平然を保って仕事してたが、終わってバオにご飯に誘われた時、泣きだした。昨日見たこと、思ったことを全部打ち明けた。

「そっかー見ちゃったんだ・・・・・あのね、ティンちゃん。イエンも片思いなんだよ。みんな知ってる」

「えっ!そうなの?それにみんなも知ってるってなに?」

困ってるティンにバオは説明してあげた。みんなが密かに二人を協力してあげてた事などを。

「なんだーそうだったの・・・ありがとう。イエンちゃんも片思いなのね!じゃあまだわかんないね!」

「うん・・・私たちとしてはどっちも頑張って欲しいのね。だめだったら慰めてあげるから臆病にならないで」

バオはクンの事だけは話さなかった。クンが私が言うまで内緒にしてとの約束だからだった。

帰ってからティンはマフラー作りを始めた。毛糸はたくさん買った、あとは自分の頑張りだけ。

「まだチャンスあるけど・・彼は大人なお姉さん系と、小さいかわいい系、どっちが好きなんだろ・・・ハァ」

楽しみながらも、でも心配もしながら、頑張って編んでいた。

 ちょうどその頃、イエンが店に向かっていた。

「今日はなにを話そうかな。ん・・・あれ?クンじゃないの?」

クンが店の前に立っていた。しばらくするとあの彼が出てきた。

「ごめん、待った?」

「もう、遅いよー!ほら行こう、早く早くぅ!」

クンが彼の手をひっぱって二人で走って行った。イエンは店の影に隠れて見てた。

「なんだークンの彼だったの・・・・そっかー・・・」

ちょっと涙目になって歩く。でもなぜか、心は諦められないという気持ちが残っていた。

 次の日、ティンとイエンはそれぞれある決心をして、夜になるのを待った。

仕事が終わって、ティンはまっすぐ彼の店に行った。

バオに頼んで、イエンが帰るのを自然に遅めてもらった。歩きながらドキドキしていた。

「こんばんわ。・・・あの王さん、私あなたに・・・」

「ティンさん!明日7時、この近くにある公園の噴水前ベンチに来てください。お話があります」

「はっ、はい!わかりました!行きます」

ティンは突然のことで頭が真っ白になり、ただ返事をすることしかできなかった。

その数分後、イエンも彼に同じことを言われた。

「私もあなたに伝えたいことがあるの。いいわ、じゃあ明日ね」

明日はクリスマスイブ。楽坊は仕事が入ってしまったが、6時には帰れる。その夜ティンは眠れなかった。

 そしてイブ当日。王先生の配慮で楽坊はクリスマスコンサートのゲストに出るだけだった。

そして、夜。ティンはプレゼントを持ってベンチに座っていた。言う言葉を何度も呟く。するとイエンが来た。

「・・・ティンちゃん!どうしたの?誰か待ってるの?」

「あ、イエンちゃん・・・・私達、同じ人を待っているんだよ」

「えっ!・・・・ティンちゃんも王くんを?知らなかった・・・」

イエンが驚いた顔している時、彼がやってきた。

「こんばんわ。ありがとう来てくれて」

「私から言わせて。私、あなたが好きよ。クンの彼だって知ってるけど伝えたかったの、ごめんね」

「えっ!クンの彼って?あの、もう、私も言います!あなたが好きです!これ受け取って下さい・・・」

もう言うしかなかった。ティンは頭からっぽにしながら、目をつぶり精一杯心をこめて告白した・・・

聖なる夜を味方にした、心からの祈りだった。

彼は頭をさげて言う二人を申し訳なさそうに見ていた。

「・・すごく嬉しいんですが・・・お二人の気持ちを僕は受け取れません。ごめんなさい!」

二人とも顔をあげ、悲しい顔をした。でも泣いてはいなかった。黙っているとクンがやってきた。

「ごめん・・終わった?私が説明するから、王くんはもう行きなよ。あの子が待ってるよ」

彼はうなずくとティン達に一礼して走って行った。見届けてからクンが話しだした。

「あの彼ね、私の親友の彼なの。正確に言えば元カレ。先月ケンカ別れしたんだけど、友達が未練たっぷりで・・かわいそうだからこないだ私が彼を説得したの。そしたヨリを戻す事になって・・・だからなの」

「クンの彼じゃなかったの?私おととい、クンがあの人と手をつないでたの見たけど・・・」

「あの時よ、話をさせに友達の所に彼を連れてったの。手つないでたというより、ひっぱってなかった?」

ティンは全身の力が抜けて、ベンチに座りこんだ。それを見てクンはあせる。

「あの・・ごめんね。もっと早くに言えばよかったんだろうけど・・友達もギリギリまでためらっててさ・・・」

クンはなんとか励ましていた。イエンは軽く微笑んでティンの横に座った。

「ティンちゃん。そのプレゼントもしよかったら私にくれない?私も渡すつもりだった帽子をあげるから」

「イエンちゃん・・・うんいいよ。これ、もうどうしたらいいかわかんないもの」

「はい。私たちフラレちゃったね。でもなんか少しすっきりしてるの。悲しいけど、大きなショックじゃないの」

「はい。私もだよ。なんか本気で叶うと思ってなかったから・・・やっぱりっていうのと、言えた嬉しさが・・・一気にきてるの今。ハァーすっきりした。なんか楽しかったな!12月の恋って不思議だね」

「ほんと。クリスマス近いと盛り上がるね。わぁ、これ手作り?すごい!よく頑張ったね!大事にするわ」

二人とも同じ状況にいる仲間だから。ライバル意識なんてもうない、大好きな仲間だった。

「ねぇ、来たよ」

クンが後ろを向いて言う。見るとメンバーのみんなが来た。

「終わったのかしら?告白タイムは」

ジェンナンが腕をくんで言う。ティンはびっくりした。

「みんな・・・恋人と一緒じゃないの?」

「だってこれからみんなでクリスマスパーティーじゃない。明日に変更してもらったわ」

「私も。家族といるつもりだったけど、明日にしてもらった。みんなと居たいから」

「パーティーって・・・どこで?」

「決まってるじゃない、ヨータンヤー!」

シュアンが元気よく言った。ティンはすっかり忘れていたのだ。

「あーそうだママが24日に・・・でもなんで知ってるの?」

「おとといバオからティンちゃんが泣いたって聞いて、心配になってね・・・ビンちゃんとお店に行ったのよ。そしたらおばさんから24日貸切にするって聞いて。だからみんなに夜あけてもらうよう頼んだの」

ソンメイがティンの横にきてコソッと話した。

「そうだったんだ、ありがとう!ママ喜ぶわ。よぉしみんなー!ごちそう食べに、うちにレッツゴー!」

おー!とみんなで片腕をあげて喜んだ。ティンはいつもの元気なティンだった。

イエンも笑ってた。二人とも失恋の悲しみは残っていなかった。

12月、恋が始まり、そして終わった。ティンは本気で想い、頑張って向かっていった。

クリスマス。きらめいた恋心は雪と一緒に溶けていきました。でもとても暖かいです。


  • 2004/12/22~12/26
  • written by りょう


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[No.1] 投稿者:めろん[2006年08月19日 12:05]

十二楽坊が大好きなのでこういう話わ大好きです。実話じゃなくてもすごく楽しめます。もっといっぱい出して下さい

[No.2] 投稿者:めろん[2006年08月19日 12:05]

十二楽坊が大好きなのでこういう話わ大好きです。実話じゃなくてもすごく楽しめます。もっといっぱい出して下さい

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